Glossaulax didyma (Röding 1798)

ツメタガイ

軟体動物門 腹足綱 新生腹足亜綱 タマキビ目 タマガイ科

intertidal zone, sandy-muddy bottoms
Obitsu River Mouth Flat, Kisarazu, Chiba, Japan
photo by Kayane Lab. with Kazuyuki Yamada, 30 April 2018
Sony Cyber-shot DSC-WX100

Neverita (Glossaulax) didyma ツメタガイ 大山 1969 77 textfig.2.

Glossaulax didyma ツメタガイ 間嶋 1987 59-64 figs.2-6. 奥谷 1994 74 fig.1.2.28. 奥谷 2000 255 pl.127.22.

Neverita sp. ツメタガイ 瀬川 服部 1997 41-48.

Neverita didyma ツメタガイ 柴田 河西 1999 25-31. 丸山 大嶋 2002 55-63. 高木 上田 2002 61-70.

  伊勢湾古鈴谷干潟(瀬川 服部 1997),東京湾(柴田 河西 1999), 鹿島灘(丸山 大嶋 2002).
  北海道北半をのぞく日本全国の内湾的環境(奥谷 1994). 北海道南部以南,インド-西太平洋,潮間帯~水深 50m の細砂底(奥谷 2000).
  中新世中期に日本に現れ,時代の経過とともに変異の幅を増し,化石型,現生A型,同B型およびその中間型 の4型に区別でき,ホソヤツメタはB型(間嶋 1987).
  小作貝塚(船橋市 1983),良文貝塚(香取市 2016)から出土.

  砂泥底で潜入生活(奥谷 1994). 季節的な移動を行っている可能性(柴田 河西 1999).
  砂茶碗と呼ばれる卵のうは2層状,5~9月に産出(奥谷 1994).

  盤洲や富津では 1993 年頃から出現,アサリの食害 29トン/日,1000万円と推定, 捕食行動にはカイロモンが介在する(柴田 河西 1999). 体重 10g のツメタガイの生息密度10個体/m2 と仮定した場合, 水温 6.4-14.5 ℃のときの貝類捕食量は 2-12g,9.5-21.9 ℃のときは 10-25g, 古鈴谷干潟(2km2)で1日あたり 4~50トン,80~1000万円の食害とする試算(瀬川 服部 1997). 駆除効率が高い夜間底引き網は 200㎏/隻,イチゴ曳き底引網はアサリへの影響が少なく, 刺し網,腰播きカゴ,徒手採取,通常操業への混獲などが駆除の手法とされる(柴田 河西 1999).

  鳥が空から落として殻を割って中身を食べる餌落とし行動 prey-dropping behavior のうち 「貝落とし行動」をするカラスやカモメ類のエサの種類(高木 上田 2002 table 1-2), 千葉ではツメタガイが比較的高い頻度で観察された(高木 上田 2002 p.62).

01 May 2006; modified 18 July 2018

  1. 船橋市遺跡調査会 小作貝塚調査団 1983 小作貝塚 II ― 縄文時代後期貝塚の調査 ―. pp.115, pls.97.
  2. 香取市教育委員会 2016 国指定史跡良文貝塚. pp.64, pls.53.
  3. 間嶋 隆一 1987 日本産ツメタガイ類(腹足綱:タマガイ科)の分類. Venus, 46(2): 57-74.
  4. 丸山 順子 & 大嶋 和雄 2002 鹿島灘沿岸固有の貝類群. 茨城大学地域総合研究所年報, 35: 55-63.
  5. 奥谷 喬司(編) 1994 水産無脊椎動物,II. 恒星社厚生閣. pp.357.
  6. 奥谷 喬司(編) 2000 日本近海産貝類図鑑. 東海大学出版会. pp.1173.
  7. 大山 桂 1969 本邦産タマガイ科の分類学的検討(予報). Venus, 28(2): 69-88, pls.4-5.
  8. 瀬川 直治 & 服部 克也 1997 伊勢湾古鈴谷干潟におけるツメタガイによるアサリの食害. 愛知水試研報告, 4: 41-48.
  9. 柴田 輝和 & 河西 伸治 1999 東京盤洲干潟と富津干潟のアサリ漁場におけるツメタガイの大量発生と駆除方法. 千葉水試研報, 55: 25-31.
  10. 高木 憲太郎 & 上田 恵介 2002 日本国内におけるカラス・カモメ類の貝落とし行動の分布. Strix, 20: 61-70.